踏み込んだなら、最後。
元から茶色が入っていた髪の毛は、学生時代のときはポニーテールが絃お姉ちゃんスタイルだった。
今は下ろして軽く巻かれていて、なんかすごく……大人だなあって。
「あ、そういえばシロは?元気してる?」
「シロちゃんは……最近遅くて。バイトとかしてるわけじゃないのに…」
「あらー。シロのやつ、ちゃんと高校生してんだね」
「それにしても遅すぎるんだよ?変なことしてないといいけど…」
こんなときくらい、シロちゃんにはまっすぐ帰ってきてほしい。
ただ、シロちゃんは嘘をついている。
それだけは分かっていた。
だって調べものって、たとえば図書館や本屋だったとしたなら夜の10時なんかとっくに閉館している時間帯なのだから。
「…大丈夫。あの子はああ見えて、昔から周りのことを考えられる優しい子だったから」
アルバムをめくるように、絃お姉ちゃんは続ける。