踏み込んだなら、最後。




元から茶色が入っていた髪の毛は、学生時代のときはポニーテールが絃お姉ちゃんスタイルだった。

今は下ろして軽く巻かれていて、なんかすごく……大人だなあって。



「あ、そういえばシロは?元気してる?」


「シロちゃんは……最近遅くて。バイトとかしてるわけじゃないのに…」


「あらー。シロのやつ、ちゃんと高校生してんだね」


「それにしても遅すぎるんだよ?変なことしてないといいけど…」



こんなときくらい、シロちゃんにはまっすぐ帰ってきてほしい。


ただ、シロちゃんは嘘をついている。

それだけは分かっていた。


だって調べものって、たとえば図書館や本屋だったとしたなら夜の10時なんかとっくに閉館している時間帯なのだから。



「…大丈夫。あの子はああ見えて、昔から周りのことを考えられる優しい子だったから」



アルバムをめくるように、絃お姉ちゃんは続ける。



< 25 / 280 >

この作品をシェア

pagetop