踏み込んだなら、最後。
「約束、守れなかったけど。…いつか僕の、さ…、その、お嫁さんに……」
こくんっと、食いぎみに返事をした。
当時のスムーズさはお互いになくて、子供のときは簡単に言えたセリフも今はすごく恥ずかしくて。
でも、あのときと気持ちは何も変わっていない。
「由季葉、大好きだよ」
「……私も…、士郎くんがだいすき」
ぼくはシロ、きみはユキ。
合わせて冬に、なるんだよ───、
初めて会った日に落ちてきた雪が、倉庫から見える秋の夜空に幻のように見えた。
「きゃーっ、あれプロポーズしてる…!妹や弟たちのああいうのってドキドキする~、ねえ絃織っ」
「すげえな。最近の高校生ってあんなロマンチストなのかよ」
「絃織とはぜんぜん違うよね」
「俺はもっとスマートだったよな」
「うんうん。ただのヘタレで強引でした~。あっ、しっ!聞こえちゃう…!チューするかな?ひゃ~!」
………倉庫の入り口付近から。
なにやら感じる視線と、大人たちのヒソヒソ声。
もう聞こえてるよ……っ!!