踏み込んだなら、最後。




「「っ!!!」」



バッッ!!

抱きしめ合っていた身体を跳ね返すようにお互いに離せば、「あっ、なんかごめん」と、絃お姉ちゃんの呑気すぎる笑い声。



「きっ、来てたなら言って…!?」


「だって大変だと思って来てみれば、とっくに片付いちゃってるんだもん。そしたらイチャイチャし出しちゃってね~」



邪魔したら悪いかなあと思って、って……。

そうやって盗み見ているほうが悪意があると思うのですが…。



「それより、由季葉」


「っ、わ…っ!」



向かってきてパチンッと、軽いデコピンが私のおでこに絃お姉ちゃんから与えられた。



「私たちに嘘ついた罰ね」



怒っているというよりは、安心している顔だった。


私がたくさん嘘をついてしまったこと。

その嘘が、とんでもない危険度があったこと。



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