踏み込んだなら、最後。




普段ふわふわしている男の子がそこまで感情的になったことに、当時の2人も驚いたという。


それくらいシロちゃんにとって私はかけがえのなくて大切な存在───、


許されるよね。

そんなふうに自惚れても。



「シロはさ、言葉より行動で示すタイプだと私は思うんだよね。なんの意味もない行動はしない子な気がするな」


「……シロちゃん、最近、タバコと香水の匂いがするの」


「え、タバコ?」


「…うん」



「おー、年上にいったかあいつ…」と、シロちゃん本人が吸っているんじゃないかとは疑いもしない絃お姉ちゃん。



「シロが年上かあ…、んー、大丈夫だとは思うけど、良からぬ方向に染まって欲しくはないよねえ」


「……そういう絃お姉ちゃんも年上だよね、旦那さん」


「…………」



結局、その日もシロちゃんが帰ってきたのは夜。


絃お姉ちゃんに会うことなく、あとから知らされて「なんだ、そうだったんだ」と言っていた。


ほんとうは分かってたくせに。

シロちゃん、そういうところが増えたね。



< 27 / 280 >

この作品をシェア

pagetop