踏み込んだなら、最後。
「これ以上はほんとに…っ」
「ほんとに?」
「…き…、きもちくなっちゃうから…、」
「……ねえ。魔性すぎ」
まるで逆効果。
言わせた僕が馬鹿だった、と言わんばかりに荒さを増していくシロちゃんの吐息。
「や…っ、ストップっ、おねがいみんなのためにケーキ作らなく───、わっ、あっ、きゃっ…!」
ガッシャーーン!
つるっと落としたボウル、飛び散った生クリーム。
幸い私がガードとなってシロちゃんにかかることはなかったが、そのぶん盾になった私は悲惨なことに。
「あーっ!やだっ、せっかくいい感じにツノが立ってたのに……!シロちゃん…!」
「…………」
「ああ…っ、もう…、掃除しなくちゃ……」
わがままを言っていいなら、とりあえずシャワー浴びたい。
生クリームはいつも多めに買ってあるから問題なかったとしても、またあの工程を1からってところがヘコむ……。