踏み込んだなら、最後。




「これ以上はほんとに…っ」


「ほんとに?」


「…き…、きもちくなっちゃうから…、」


「……ねえ。魔性すぎ」



まるで逆効果。

言わせた僕が馬鹿だった、と言わんばかりに荒さを増していくシロちゃんの吐息。



「や…っ、ストップっ、おねがいみんなのためにケーキ作らなく───、わっ、あっ、きゃっ…!」



ガッシャーーン!

つるっと落としたボウル、飛び散った生クリーム。


幸い私がガードとなってシロちゃんにかかることはなかったが、そのぶん盾になった私は悲惨なことに。



「あーっ!やだっ、せっかくいい感じにツノが立ってたのに……!シロちゃん…!」


「…………」


「ああ…っ、もう…、掃除しなくちゃ……」



わがままを言っていいなら、とりあえずシャワー浴びたい。

生クリームはいつも多めに買ってあるから問題なかったとしても、またあの工程を1からってところがヘコむ……。



< 275 / 280 >

この作品をシェア

pagetop