踏み込んだなら、最後。




「…ぼくは“シロ”、きみは“ユキ”」



ギシッときしんだベッド。

脱力したカラダに伸びてくる腕は、隠してるつもりだろうけれど怯えていた。


“かぞく”ではなくなってしまった私の首筋、もう1回を求めるように顔を埋めてくる。



「「合わせて“冬”に、なるんだよ」」



だっけ、と。

シロちゃんは付け足して現実に戻した。


これは私たちの合言葉みたいなもの。


おなじ施設で育って、今までずっと家族のように過ごして。



「…私のこと…、嫌いなの…?」


「…好きな女にはもっと優しくしてる」


「そ、そんなのやだ……っ」


「…今日みたいなこと、またされたいって?ドMにも程があるんじゃない」



この街には来るな。
ぜったい、もう2度と、来るな。

釘をさすために彼は言い直したに決まってる。



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