踏み込んだなら、最後。
「シロ……ちゃん…?」
ぽすっと、首筋に埋めてきた顔。
熱い吐息にピクリと反応してしまったのも束の間、ハッキリと聞こえてしまった。
「────かぞく、もうやめたい」
シロちゃんが最後に伝えてきた言葉は、それだった。
翌日から本当に帰らなくなった彼は、スマホに連絡をしたとしても既読すらつかない。
保母さんたちや佳祐お兄ちゃんにどう説明したかはよく覚えていないけど、シロちゃんが今まで作り上げてきた信頼というものが勝ってしまったのだ。
ある程度、すでに彼は彼で職員たちに心配かけさせないよう手は回していたらしく。
「……なに…これ」
気づかなかった。
気づけなかった。
私の部屋に置かれていた、ラッピングされた袋に。
シロちゃんがいなくなってから見つけたプレゼント、なかにはお決まりのメッセージカードがひとつ。