踏み込んだなら、最後。
それから私は彼が通っている高校で待ち伏せたものの、いつまで経っても会えなかった。
いよいよ生徒たちに尋ねてみたりもしたのだけれど。
「士郎くん?ずっと学校、来てないよ」
「え…」
「ちょっと前から早退とかも多かったし、みんな心配してる。ただ…意味不明なウワサが回ってて」
「うわさ……?」
「うん。危ない街で見かけた…とか」
この街には近づいてはいけないと言われている場所が存在する。
常人ならば立ち入り禁止とされている、街が。
ぜったいに踏み込んではいけない街。
「あの、その危ない街って…」
「游黒街(ゆうこくがい)っていうらしいんだけど、聞いたことある?そんな街ここにないよね…?あたしの聞き間違いかもだけど」
どうやらそこに、私の大切な“かぞく”が出入りしているらしいのだ。