踏み込んだなら、最後。
「ここに来たら抱かれるんだよ。きみは、僕にね」
って、わざわざ。
「……それでも…いい、よ」
ピタリと、動きが止まった。
「…僕はきみの、いざというときビビって何もできないところが好きだったよ」
ズルすぎる。
そんなに優しく髪を撫でるくらいなら、いっそ激しくぜんぶを忘れさせてくれたほうがいい。
遅いよ、いまさら。
もう踏み込んでるんだ。
ぜったい入ってはいけないと言われていた領域に。
「なんで泣いてんの。…初めてが僕でそんなに嫌だった?」
「ちが、う…っ」
このマンション、誰のマンションなの…?
シロちゃんは当たり前のように鍵を手にして入って、私をこのベッドに押し倒した。
女の人の匂いがするの。
いつからかシロちゃん、この匂いを身体にまとわせていたね。