踏み込んだなら、最後。
《情報ありがとうございました。すごく助かりました》
游黒街という町は、遊楽町と同じ場所にあること。
私に詳しいことを教えてくれた彼───千(せん)さんという方から掴んだ情報は、とてもハッキリしない疑問ばかりの変なものだった。
「……暗い…」
たどり着いて最初の純粋な感想は、これだった。
まだ太陽が出ているし、街灯がなくても大丈夫な時間帯のはずが。
きらびやかな賑やかさに隠れきれない薄暗さがある。
ここで引き返せと、誰かに言われているみたいだった。
「ゆうらくちょう……」
看板にもそう書いてある。
“游黒街”なんて名前はどこにも表記されていなく、最寄り駅の名前も“遊楽町”と、私でさえ知っているもの。
けれど聞くところによれば、ここが游黒街でもあるらしいのだ。
この場所のどこかにシロちゃんはいるの……?