踏み込んだなら、最後。
「お嬢ちゃん高校生?ガチの?」
「えっ、あ、…はい」
「まじ。いくら?2までなら出せるよ」
「……は……?」
ジロジロ見られているとは思っていた。
どうしてそんなに見てくるんだろうってくらいに。
そうか制服姿だったから少し場違いだったんだと視線を落としていると、ひとりの男性が近づいてきて、小声でそんなことを言ってくる。
「ここ、人通り多いからさ。ちょっと移動しよーや」
「わっ、あの、」
「へーきへーき。案内してあげるって」
タバコの匂いだ…。
でも私が探しているタバコの匂いじゃない。
強引にもトンっと背中が押されて、ぐらっと傾いたところを隙なく支えてくる。
「すみませんっ、私よくわからなくて…!」
「うん、うん。だーいじょぶー」
なんも知らねえガキがひとりで来るなんてバカだな───私にはそんなふうに聞こえた。