踏み込んだなら、最後。




タバコと女物の香水が混じった、私が大嫌いな匂いだよ。


あなたはここで、いったい誰と住んでいるの。



「かえってきて…、お願い、おねがい…っ」



とても綺麗なひと。

それだけは知っている。


すごく大人で、シロちゃんが隣を歩くにはまだ少し足りないくらい……年上の女性。



「あの人とも…、私としたみたいなこと、してるの…?」


「…どーだろ。どう思う?」


「っ、」



触られる場所、ひとつひとつ。

熱を持っては消えてしまうから、また触ってと無意識にもねだる。


そんないじわる言わないで。


試すような目も、欲を含む言葉も、私だけじゃないと苦しい。



「僕がこの場所にいる理由はさ、ずっと狙ってる人がいるんだよ」


「やめてっ、聞きたくない…っ」


「気になって気になって仕方がない。どうにかしてでも近づきたくて、…それくらい夢中なんだ」


「やだって…っ、ンン…ッ!」



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