踏み込んだなら、最後。
「なんだ、知ってんのかよ。…ここのもうひとつの名前」
もうひとつの、名前……?
「清楚なふりして騙す、そーいうやり方?」
騙す…?
なにを言っているの…?
私をここまで騙して連れてきたのはあなただ。
「たまーに来るんだよな。どこで情報掴んだか知らねェーけど、興味本位で近づいてくるガキどもが」
「…わたし…、本当に……知らなくて、」
「目的として来たのは事実だろ?いいぜ、お望みどおり見せてやるよ」
「きゃ…!」
ぐいっと引っ張られた腕。
有無を言わさない動きで連れられてゆく。
そして私の目に映った光景は。
「……なに……ここ…」
少し前にテレビで見た中国のゴーストタウンを思い出した。
80年代まで作動していたという、それは大きな街のように見えてたくさんの建築物が合わさった建物。
言ってしまえばその建物自体がスラム街で、なかでは不法輸入や人身売買が行われていたと。
そんなものを彷彿とさせる、いま目の前に見える街並みは。