踏み込んだなら、最後。
「こっちでも調べてはみたが、とくにひまわり園に誰かが近づいた形跡はなかった」
「そう…。本人はクラスメイトに教えてもらったって言ってたの」
「ただ、最近ガキどもの暴走族が関わったりしてるとは聞いてる。もしかするとそこからかもしれねえな」
そして施設の前、ふたりの大人が立っていた。
横付けされた高級車。
彼らは誰かを待っているように話している。
「…ごめんね、忙しいのに別件をお願いしちゃって」
「問題ない。お前の大切な妹なら俺にとっても同じだ。ちょうどめんどくせえ要件だったし、逆に助かった」
「いやその仕事サボることは当たり前精神やめて。旦那さま」
動いたんだ。
私があんな電話をして、その街の名前を言ってしまったから。
たったそれだけで絃お姉ちゃんは常に忙しくしている“彼”を動かした。