踏み込んだなら、最後。
千載一遇




「由季葉さん由季葉さん」


「は、はい、なんでしょうか…?」


「このあとって…暇ですかねえ?」



ひょこっと机から顔を出して、ご丁寧に伺ってくる友達。

トントンと教科書を揃えてスクールバッグに詰めようとしていた私は、何事かと動きが止まる。



「……暇、ですが…」


「よっし!ラスト埋まったーーー!かなりん無事に由季葉捕獲したよ~!」


「いえーいっ!ナイスみっちーっ」


「……………」



私の顔色を伺ってきた“みっちー”こと実千(みち)ちゃんと、“かなりん”こと叶里(かなり)ちゃん。

ふたりは私と普段から仲良くしてくれる同じクラスのお友達だ。


たまにテンションに追い付けないときは今みたいなときで、私は頭上にいくつものハテナマークが浮かぶ。



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