踏み込んだなら、最後。




家族じゃなかったら良かったのか、って聞かれると、そうでもないが答えなんだろう。


家族じゃなかったらもっと他人だった。

家族じゃなかったら、きっと出会えなかった。


シロちゃんにとって私は、なんだったんだろう。



「それにしても汐華さんは子供、好きなんですか?」



気分を変えるように違う話題。

そこまで器用そうには見えないことが、どこかホッとした。



「…私の家、たくさん兄弟がいるんだ」


「え、もしかして大家族だったりですか…?」


「…うん。そんな感じ…かな」


「いいですね。たしかに優しいお姉ちゃんって感じがします」



もうすぐわかるよ。

私の家が大家族な意味も、たくさんの兄弟たちに囲まれている理由も。


────ほら、見えてきた。



「…ここ……」


「…ここが私のお家、です」



< 72 / 280 >

この作品をシェア

pagetop