踏み込んだなら、最後。
私は、もしかすると。
この人が初めての彼氏になるんじゃないかなって。
どうしてかそう思って、納得もして、いつかシロちゃんのことをしっかり“家族”に変えてくれると勝手に期待までしてしまった。
「やっと帰ったか。で、帰りが18時過ぎるときは?」
「…れん、らく」
「そう。されてないんだよなー」
「…ごめん佳祐お兄ちゃん」
「……由季葉?なんかあったか?」
夜遅くまでメッセージを送りあって、《おやすみ》と返す。
たったそれだけで胸が温かくなったこれが、恋というものならば。
シロちゃんと一緒の高校に通いたくて、シロちゃんのことがいつも心配で。
シロちゃんとずっとずっと一緒にいたくて、一緒にいられないなら私も連れて行ってほしくて。
シロちゃんにならぜんぶあげたいと思っていた。
あの気持ちは、恋ではなかったのかもしれない。