踏み込んだなら、最後。
『あっ…』
『わっ!お、オレじゃないよ…!こいつが押すから…!』
『ちょっと由季葉ちゃんのお弁当…!謝んなよ高木!!せんせーっ、由季葉ちゃんのお弁当が高木のせいで落ちちゃいましたー!』
クラスメイトの男の子が背後からぶつかってきて、私が手にしていたお弁当が地面に落っこちた。
まだ蓋を開けたばかりで何も手を付けていなくて、楽しみに取っておいたフルーツまで。
ぜんぶ土がついてしまって、食べられなくなってしまったんだっけ。
『汐華さん、先生のおにぎり1コあげる。ねえみんなー!汐華さんにおかず少しだけ譲ってあげてくれないかな?』
『ううん、だいじょーぶ』
『えっ、漆原くん…?』
『僕といっしょに食べるから』
そのとき私のもとに来てくれたのは、やっぱりシロちゃん。
泣きはしなかったけれど落ち込んでいた私の腕を引いて、自分のビニールシートを敷いた場所まで連れていってくれた。