踏み込んだなら、最後。
胡蝶之夢




「ごめん絃、いろいろ助かった」


「今日は保育園のレクで保母さんたち不在って聞いたから。佳祐ひとりじゃ大変だろうし、私もいろいろ…心配だからさ」



部屋の前、忙しい声が聞こえる。


おでこに貼られた熱さまシート、かけられた布団は熱いのに寒い。

身体はだるくて関節が痛む。


はあはあと、私は小刻みな呼吸を繰り返していた。



「ユキおねーちゃーん、だいじょぶ?」


「オレも一緒に学校やすむ!おねーちゃんを看病してやるっ」



うん、ありがとう。

ごめんね…、
それすら言えそうにないんだ。


異常なくらい体温が上昇していることに気づいたのは、夜中の3時を過ぎた頃。


寝汗がすごくて、そこでシャワーを浴びてしまったのが逆にダメだったんだと思う。

朝には病院にも行けないほど悪化してしまい、今日は市販薬と熱さまシートでなんとか乗り切ろうとしている現在。



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