踏み込んだなら、最後。
「こーらお前たち、うつるから入るなって言ってんでしょーが!忘れ物ないね?はい学校に行く!…って、シュウヤはなんでパジャマに戻ってんの!」
「オレも休むからっ」
「ばっかやろうズル休みなんか100年早いから!ほら着替えて、……怒るよ?」
「うわっ、ごめんなさいごめんなさい!行ってきまーす!!」
「ちょっ、ランドセル忘れてる!!シュウヤーー!」
やっぱり絃お姉ちゃんはすごい。
お姉ちゃんがグレードアップされて、お母さんになっている。
実際に3歳の息子がひとりいるから、家でもこんな感じなんだろうな…。
私が高熱を出したと聞いて、いろいろ買ってきてくれたのは絃お姉ちゃんだった。
「ふう…、やっと落ち着いた」
パタンと、私の部屋のドアを静かに閉めた絃お姉ちゃんは息を吐いた。
そして私の頬や首をさわって、「これまだ上がるわ…」と、困りぎみにつぶやく。