踏み込んだなら、最後。




「ゆきは~、どう?なにか欲しいものある?」


「……のど……かわいた…」


「ん、ちょっと待ってて。……っと、ナイスタイミング」



スポーツドリンクとコップをおぼんに乗せた佳祐お兄ちゃんが、ちょうど入ってきた。



「あ、そうだ。学校にも連絡入れとかなきゃじゃない?」


「もうしといた」


「わ、さっすが佳祐」



たとえ誰かが風邪を引いたとしても焦らないところが、私からすれば“さすが”だと思った。


今日は日中、保母さんは留守をしている。

絃お姉ちゃんが言っていたように、今日は保育園のレクリエーションのため、保母さんたちは保護者として参加しているのだ。


いつもこの時間はみんな学校に行っていて職員が一息つけるときなのに……佳祐お兄ちゃんに悪いことしちゃったな。


絃お姉ちゃんにも来てもらっちゃったし…、迷惑かけまくりだ。



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