踏み込んだなら、最後。
「2回目かあ、なんか懐かしいね。もう10年以上も前とかびっくり」
「あのときも俺と絃が付きっきりで治したっけ」
「そうそう、ちょうど私たちは学校が休みだったんだよね。…あ、でもシロも」
「……そうだった」
治らないかもしれない。
シロちゃんがいないから、たぶん今回は治らないよ。
このまま死んじゃうかもしれない。
6歳の頃に経験した高熱が、まさか11年経った今日に再発することになるなんて。
「シロ、本当に帰ってこないの?」
「ああ。少し前、荷物持ちにきた」
「…ただの反抗期だったらいいけど」
水分を取り終えて落ち着いていた私が布団を被るみたく身体を丸めたからか、シロちゃんについての会話はそこで終わった。
「絃も忙しいんだろ。あとは大丈夫だから、帰っていいよ」
「…また何かあったらぜったい連絡してよ?佳祐って昔からギリギリまで頼らないからさあ」
「わかってるって。つーか、これが俺の仕事でもあるし」