踏み込んだなら、最後。




『ちょっ、佳祐っ、シロめっちゃ暴れるんだけど…!うぶっ…!シロがぶった…、親父にも打たれたことないのに……!』


『いや古すぎだろ、そのネタ。俺たちでも普通は通じねえのにシロに通じるわけねーって』


『そんなこと言ってないで手伝ってよ佳祐…!!』


『落ち着けシロ、絃を殴ったら100倍で返り討ちにされるぞ。そっちのほうが生きて帰る保証なくなるんだぞ』


『は!?なにそれっ』



シロちゃんってそんなふうに泣ける子だったんだ……。

ベッドに眠る私にすがり付いてくる男の子は、わんわんと大口を開けて泣いていた。



『この雨がやんだらぜったい良くなってるからっ、シロおねがいって~!』


『………あめ……』


『わっ、えっ、シロ…!?』


『おいっ、お前どこ行くんだよ…!!』


『あめに濡れるの……!』


『『なんでだっ!!』』



ああ、これだったんだ。

絃お姉ちゃんが言ってたこと。


自分も風邪を引けば私の熱も下がるっていう、謎理論。



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