レンタル姫 ~国のために毎夜の夜伽を命じられた踊り子姫は敵国の皇帝に溺愛される~
「お待ちください国王陛下! なぜです! なぜ突然婚約破棄などと!」
「黙れ! ディロフルアが貴様よりルジェレクス皇帝陛下の方がいいと言っておるのだ。ただの公爵家のひとり息子たる貴様より、リゼレスナ帝国皇帝と婚姻を結ぶ方が我が国の安寧に繋がることくらい理解しろ!」
「国交断絶している国の元首と婚姻!? 正気ですか陛下!」
声を震わせるユフィリアンが、妹の姿を見るなり目を見開いた。碧眼が動揺に揺れる。
「ディロフルア! なんだいそのみだらな格好は! 君はルジェレクス皇帝陛下に抱かれるつもりなのか!?」
「ええ。ルジェレクス様とわたくしは運命の出会いを果たしましたの。ですからわたくしのことはあきらめなさいな。あなたは公爵家とはいえ養子ではありませんか。血筋で考えれば元々不釣り合いだったのですし」
「そんな……! 確かに僕はシュハイエル公爵家の直系ではないけれども遠縁ではあるのに……!」
「だからなんだと言うんですの? しつこいですわねえ」
青ざめたユフィリアンが足元をふらつかせて壁に肩をぶつけ、ずるずると床にへたりこむ。ノツィーリアはそのあまりの不憫さに駆けよってあげたい気持ちになった。しかし元婚約者の姉に寄りそわれたところでなんの慰めにもならないだろう。
がっくりとうなだれる元婚約者を見て妹はふん、と鼻で笑ったあと、並びたつ父親に振りむいて甘え声で話しかけた。
「ねえお父さま、お姉さまのわがままでルジェレクス様がご気分を害されていらっしゃるの。あまりにご立腹されたものだから、わたくしにまで『醜い』などとおっしゃいましたわ。ご機嫌が直ればお姉さまよりわたくしの方が美しいと、きっとお気付きになるかと存じますの。ですからお父さまの方からルジェレクス様にご説明して差しあげてくださいな。お姉さまよりわたくしの方が価値があることを」
「黙れ! ディロフルアが貴様よりルジェレクス皇帝陛下の方がいいと言っておるのだ。ただの公爵家のひとり息子たる貴様より、リゼレスナ帝国皇帝と婚姻を結ぶ方が我が国の安寧に繋がることくらい理解しろ!」
「国交断絶している国の元首と婚姻!? 正気ですか陛下!」
声を震わせるユフィリアンが、妹の姿を見るなり目を見開いた。碧眼が動揺に揺れる。
「ディロフルア! なんだいそのみだらな格好は! 君はルジェレクス皇帝陛下に抱かれるつもりなのか!?」
「ええ。ルジェレクス様とわたくしは運命の出会いを果たしましたの。ですからわたくしのことはあきらめなさいな。あなたは公爵家とはいえ養子ではありませんか。血筋で考えれば元々不釣り合いだったのですし」
「そんな……! 確かに僕はシュハイエル公爵家の直系ではないけれども遠縁ではあるのに……!」
「だからなんだと言うんですの? しつこいですわねえ」
青ざめたユフィリアンが足元をふらつかせて壁に肩をぶつけ、ずるずると床にへたりこむ。ノツィーリアはそのあまりの不憫さに駆けよってあげたい気持ちになった。しかし元婚約者の姉に寄りそわれたところでなんの慰めにもならないだろう。
がっくりとうなだれる元婚約者を見て妹はふん、と鼻で笑ったあと、並びたつ父親に振りむいて甘え声で話しかけた。
「ねえお父さま、お姉さまのわがままでルジェレクス様がご気分を害されていらっしゃるの。あまりにご立腹されたものだから、わたくしにまで『醜い』などとおっしゃいましたわ。ご機嫌が直ればお姉さまよりわたくしの方が美しいと、きっとお気付きになるかと存じますの。ですからお父さまの方からルジェレクス様にご説明して差しあげてくださいな。お姉さまよりわたくしの方が価値があることを」