レンタル姫 ~国のために毎夜の夜伽を命じられた踊り子姫は敵国の皇帝に溺愛される~
さきほど父王と対峙していたときの冷静さはどこへやら、動揺した様子を見せる皇帝にノツィーリアも釣られてどきどきしてしまう。心拍数が上がれば媚薬の効果が全身を巡り、肌が汗ばみはじめる。
(こんなにみっともない格好をしているのに、皇帝陛下は『見たい』とおっしゃってくださった……?)
冷徹皇帝らしからぬ赤面と、落ち着きをなくした態度からしておそらく本音を口にしたものと思われる。しかしノツィーリアは、皇帝が自分に対してそこまで興味を寄せてくれる理由がさっぱり思いつかなかった。
奇妙な静寂が訪れる中、ノツィーリアが一度は返そうとしたガウンで胸を隠していると、不意にルジェレクス皇帝が顔を近づけてきた。
「ノツィーリア姫」
「は、はいっ」
「随分と顔が赤いようだが具合が悪いのか? つらいようなら医官を呼ぶが」
「……!」
ガウンを口元まで引きあげて顔を隠してそっぽを向く。
そんなことをしたところで熱を帯びた体はごまかしようもない。
「具合が悪いというわけではないのですが……、あの、これは、その……」
「言いづらいことか? 男の医官に言いたくないようであれば女官を呼ぼう」
「いえ! どなた様のお手をわずらわせるほどのことではございません!」
とっさに振りむいたノツィーリアは、持ちあげたガウンから目だけを出して皇帝と視線を合わせると、自身の状態について正直に告白した。
「私、実は……さきほどのお務め前に、媚薬入りのお茶を飲まされてしまい、その……」
「媚薬、だと……!?」
(こんなにみっともない格好をしているのに、皇帝陛下は『見たい』とおっしゃってくださった……?)
冷徹皇帝らしからぬ赤面と、落ち着きをなくした態度からしておそらく本音を口にしたものと思われる。しかしノツィーリアは、皇帝が自分に対してそこまで興味を寄せてくれる理由がさっぱり思いつかなかった。
奇妙な静寂が訪れる中、ノツィーリアが一度は返そうとしたガウンで胸を隠していると、不意にルジェレクス皇帝が顔を近づけてきた。
「ノツィーリア姫」
「は、はいっ」
「随分と顔が赤いようだが具合が悪いのか? つらいようなら医官を呼ぶが」
「……!」
ガウンを口元まで引きあげて顔を隠してそっぽを向く。
そんなことをしたところで熱を帯びた体はごまかしようもない。
「具合が悪いというわけではないのですが……、あの、これは、その……」
「言いづらいことか? 男の医官に言いたくないようであれば女官を呼ぼう」
「いえ! どなた様のお手をわずらわせるほどのことではございません!」
とっさに振りむいたノツィーリアは、持ちあげたガウンから目だけを出して皇帝と視線を合わせると、自身の状態について正直に告白した。
「私、実は……さきほどのお務め前に、媚薬入りのお茶を飲まされてしまい、その……」
「媚薬、だと……!?」