修道院育ちの新米侍女ですがお家騒動に巻き込まれたかもしれません
4.不穏な木の実
「ねえ、レギーナ、これ食べられる?」
ある日、いつものようにレギーナのところにやってきたクルト。離れの近くに生っていた小さな赤い木の実を指さす。
「あら? そんな木、あったかしら……?」
レギーナはぱちぱちと瞬いてその木の葉っぱを摘まみ、裏返した。
「あっ、クルト、これは駄目よ。これは口にいれては毒になるわ」
「えっ、そうなの? 美味しそうなのに……何を見たの? 今」
「よく似た木の実で、食べられるものがあるんだけど……このね、葉っぱの裏に毛がたくさんついているものは、駄目なのよ」
トイフェル修道院裏にある山道にも、似ている木が生えていた。が、それは毒だったので、子供たちに駄目だと言い含めていた。だが、時々それでも子供たちのうち誰かが興味本位で口にすることもある。そうなると大変だ。一度、処置が遅れて子供が一か月寝込むことになってしまったことをレギーナは覚えている。
(でもおかしいわね? わざわざ毒の木を庭園に植えるかしら……?)
ちょうどそこにロルフとクラーラがやって来た。
「あっ、ロルフさん」
「今日も悪いな」
「いいえ」
クルトはクラーラに抱き着いて、今日レギーナと行った遊びについて説明を始めている。2人できゃっきゃきゃっきゃと遊び始めたのを横目で見つつ、レギーナはロルフに聞いた。
「ロルフさん。これ……この木、わかります?」
「うん? セガリの木がどうした?」
「いえ、これ、セガリによく似ているんですけど……カリタキの木なんです」
「カリタキ?」
レギーナはカリタキの木の説明をした。庭師とはいえ、すべての植物を知っているわけではないだろうし、そもそもカリタキの木は山に生えているもののような気がする。どうしてここにあるんだろう……とレギーナが言えば、ロルフは「ちょっと失礼」と、そこに植えられている何本ものカリタキの木の根元を確認した。
ある日、いつものようにレギーナのところにやってきたクルト。離れの近くに生っていた小さな赤い木の実を指さす。
「あら? そんな木、あったかしら……?」
レギーナはぱちぱちと瞬いてその木の葉っぱを摘まみ、裏返した。
「あっ、クルト、これは駄目よ。これは口にいれては毒になるわ」
「えっ、そうなの? 美味しそうなのに……何を見たの? 今」
「よく似た木の実で、食べられるものがあるんだけど……このね、葉っぱの裏に毛がたくさんついているものは、駄目なのよ」
トイフェル修道院裏にある山道にも、似ている木が生えていた。が、それは毒だったので、子供たちに駄目だと言い含めていた。だが、時々それでも子供たちのうち誰かが興味本位で口にすることもある。そうなると大変だ。一度、処置が遅れて子供が一か月寝込むことになってしまったことをレギーナは覚えている。
(でもおかしいわね? わざわざ毒の木を庭園に植えるかしら……?)
ちょうどそこにロルフとクラーラがやって来た。
「あっ、ロルフさん」
「今日も悪いな」
「いいえ」
クルトはクラーラに抱き着いて、今日レギーナと行った遊びについて説明を始めている。2人できゃっきゃきゃっきゃと遊び始めたのを横目で見つつ、レギーナはロルフに聞いた。
「ロルフさん。これ……この木、わかります?」
「うん? セガリの木がどうした?」
「いえ、これ、セガリによく似ているんですけど……カリタキの木なんです」
「カリタキ?」
レギーナはカリタキの木の説明をした。庭師とはいえ、すべての植物を知っているわけではないだろうし、そもそもカリタキの木は山に生えているもののような気がする。どうしてここにあるんだろう……とレギーナが言えば、ロルフは「ちょっと失礼」と、そこに植えられている何本ものカリタキの木の根元を確認した。