修道院育ちの新米侍女ですがお家騒動に巻き込まれたかもしれません
ばたん、ばたん、と大きな音。それから、少し離れた牢屋に誰かが入ったことをレギーナは気付いていた。しかも、1人ではない。2人。2人の女性だ。助けてください、何かの間違いです、と声が響く。
(一体、どうなっているのかしら……クルトは……クルトは本当にどこに行ってしまったのかしら……)
一晩、薄暗い牢屋の中で過ごして、レギーナは少しだけ泣いた。寒さと不安のおかげでいつもよりは眠らなかったものの、何よりロルフが置いて行ってくれたローブを羽織れば、それだけで勇気が湧き上がって耐えることが出来た。
と、見ればクラーラとロルフが姿を現した。
「クラーラ! ロルフ!」
「レギーナ! 今、鍵を開けるから待っていてね!」
そう言って、見張り兵に鍵を開けさせるクラーラ。がしゃん、と重たい音が響き、牢の出入口が開く。ロルフのローブを肩に羽織った状態で、レギーナは恐る恐るという様子でそこから出た。
すると、ロルフに突然引き寄せられ、バランスを崩して彼の腕の中にすっぽり収まるレギーナ。ローブを羽織った状態で彼に抱きしめられたせいで、腕を動かせない彼女はもじもじと体を少し動かしたが、彼の力の前ではまったく無力だった。
「すまなかった。一晩、こんなところで過ごさせてしまって悪かった……」
「い、いえ……いえ……あのっ、ロルフ、えっと……!」
どうしてよいかわからずレギーナが困っていると、すぐにクラーラが「おにいちゃん、それ、別のところでやってくれない?」と、大人顔負けの言葉を発する。
「これぐらいいいだろう? 心配だったんだから。それに、体が冷えているな……」
珍しくロルフが子供のようなことを言うが、クラーラはそれを許さす「もう! 離してあげてよ!」と怒る。渋々ロルフはレギーナを解放した。
「でも、本当ね。寒かったんでしょ? わかった。湯あみをしてもらいましょ!」
クラーラはパン!と両手を打ち合わせて、その場からたったったと軽快に去っていく。レギーナがぽかんとしていれば、ロルフが「気にするな。侍女に頼みにいったんだろう」と言う。
「ええ? わ、わたしがここで湯あみを?」
「そうだ。今日のところは、誰にも手を出せないようにクラーラの権限がある本館に……おい、これはどうしたんだ……?」
ロルフはレギーナの手首の擦り傷を見て、声を荒げた。
(一体、どうなっているのかしら……クルトは……クルトは本当にどこに行ってしまったのかしら……)
一晩、薄暗い牢屋の中で過ごして、レギーナは少しだけ泣いた。寒さと不安のおかげでいつもよりは眠らなかったものの、何よりロルフが置いて行ってくれたローブを羽織れば、それだけで勇気が湧き上がって耐えることが出来た。
と、見ればクラーラとロルフが姿を現した。
「クラーラ! ロルフ!」
「レギーナ! 今、鍵を開けるから待っていてね!」
そう言って、見張り兵に鍵を開けさせるクラーラ。がしゃん、と重たい音が響き、牢の出入口が開く。ロルフのローブを肩に羽織った状態で、レギーナは恐る恐るという様子でそこから出た。
すると、ロルフに突然引き寄せられ、バランスを崩して彼の腕の中にすっぽり収まるレギーナ。ローブを羽織った状態で彼に抱きしめられたせいで、腕を動かせない彼女はもじもじと体を少し動かしたが、彼の力の前ではまったく無力だった。
「すまなかった。一晩、こんなところで過ごさせてしまって悪かった……」
「い、いえ……いえ……あのっ、ロルフ、えっと……!」
どうしてよいかわからずレギーナが困っていると、すぐにクラーラが「おにいちゃん、それ、別のところでやってくれない?」と、大人顔負けの言葉を発する。
「これぐらいいいだろう? 心配だったんだから。それに、体が冷えているな……」
珍しくロルフが子供のようなことを言うが、クラーラはそれを許さす「もう! 離してあげてよ!」と怒る。渋々ロルフはレギーナを解放した。
「でも、本当ね。寒かったんでしょ? わかった。湯あみをしてもらいましょ!」
クラーラはパン!と両手を打ち合わせて、その場からたったったと軽快に去っていく。レギーナがぽかんとしていれば、ロルフが「気にするな。侍女に頼みにいったんだろう」と言う。
「ええ? わ、わたしがここで湯あみを?」
「そうだ。今日のところは、誰にも手を出せないようにクラーラの権限がある本館に……おい、これはどうしたんだ……?」
ロルフはレギーナの手首の擦り傷を見て、声を荒げた。