仮面夫婦は仮面を剥ぎ取りたい。〜天才外科医と契約結婚〜
「じゃあ断るか?俺はもうあんたの素顔知っちゃってるけど、いいんだな?」
「!」
「クールビューティーなセレブ・アズハが実は全身ユニシロのド庶民だもんなぁ」
「……!!(もしかして脅してる!?)」
もし万が一アズハの素顔がバレることになるのはマズい。
今まで積み上げてきたキャリアを全て棒に振ることになる。
モデルとしての収入が落ちてしまうのは何としてでも避けたい。
「あなた脅すつもりなの!?」
「別に?つーかあんたにとっても悪くない取引だと思うけど?一億はいかなくても、全ての治療費を合わせたら総額でそれくらいはいくかもしれない。更にこの先復帰するならもっと金はいるんじゃないか?
てか妹さん、スポンサーは?」
「まだついてないけど……」
「だったら淡雪総合病院がスポンサーに就くように院長に掛け合ってやってもいい。あの香椎柚葉選手なら二つ返事でOKすると思うけどな」
それは願ってもない話だ。
はっきり言ってメリットしかない。柚葉が万全の体勢で治療を受けられるのなら、これ以上のことはない。
更にいずれはスポンサーを探さないといけないと思っていたところだ。正に棚からぼたもちである。
「確かに有難い話ではあるけど、一応私は人気モデルだし結婚となるとイメージが変わるっていうか……事務所に相談してみないと」