仮面夫婦は仮面を剥ぎ取りたい。〜天才外科医と契約結婚〜
「(壱護は私のこと、どう思っているの……?)」
杏葉の中で確実に壱護の存在が大きくなっている。
もう杏葉自身も目を逸らせない程に。
だけど、それと同時に両肩に重くのしかかる。
自分たちは利害関係による仮面夫婦なのだと。
* * *
「わっ!何これ!?すごい……!」
その夜の食卓に並んだ食事は、彩り豊かで豪華なものだった。
「まずメインのサバ缶で作ったキーマカレー。鯖は健康や美容に良い油が良質に摂取できるんだ。カレーにすれば臭みも気にならない」
「卵が乗ってる!美味しそう!」
「それと豆乳のコーンスープ。そのまま豆乳で仕上げた。あっさりした味で糖質も抑えられる」
「キーマカレーとの相性も良さそうだね」
「それからピーマンの豆腐詰め」
「豆腐!?お肉じゃなくて?」
「そうだ。ひじきや野菜も詰めてあるからボリューミーだぞ。だが低カロリーだ」
「すごい!」
想像以上の豪華な料理が並び、驚きが隠せない。しかもどれも美味しそうだ。
こんなにしっかりとした料理で、ヘルシーさも考えられているとは思っていなかった。
杏葉は写真を撮る手が止まらない。
「すごいよ、壱護!ありがとう!」
「写真もいいけど、食ってみろよ」
言われてまずはスプーンを持ち、サバ缶キーマカレーを一口運ぶ。