仮面夫婦は仮面を剥ぎ取りたい。〜天才外科医と契約結婚〜


 柿原がどう受け取ったのかは杏葉にはわからなかったが、少なくとも同情はしてくれた。


「新婚さんだもんね。アズハちゃんって結婚してから一緒に住み始めたの?」

「あ、そうなんです」

「付き合ってる時から同棲してると意外と平気だけど、そっか、それは寂しいね」


 その話を聞いて結婚する前から同棲することもあるのか、と思った。
 自分には考えられないことだ。

 ふと気になって尋ねてみた。


「カッキーさんはどうして旦那さんと結婚したんですか?」

「えっ!?それ聞く?」

「結婚の先輩として聞きたいです!」

「結婚の先輩って、アズハちゃんたまに面白いこと言うよね」

「や、やだ私ったら」


 今更遅いと思いながら一応取り繕って笑う杏葉である。
 柿原はクスッと笑い、杏葉の髪にコテを当てながら答える。


「すごく漠然としてるんだけど、私旦那に初めて会った時にこの人と結婚するかも! って思ったの」

「そうなんですか!?」

「何となくね。付き合い始めてからもやっぱりこの人と結婚するんだろうな〜って。おかげでプロポーズされても全然驚かなかったんだよね」


 柿原はおかしそうに笑いながら、でもとても幸せそうだった。


「カッキーさんにとって旦那さんは運命の人なんだ」

「ふふ、そうかもね」

「いいなぁ……」


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