冷たい城の番人
鼓膜を大きく揺らすほどの鐘音に紛れて、その声は確かにわたしの耳に届いた。
切り裂くような鋭さを秘めた声に、体は呪いにかかったかのごとく動かなくなる。
一度、ゆっくりとまばたきをした。
──刹那、誰かに背後を取られた。
「その制服は南高か。どうしてここへ来た」
冷たい指が、わたしの首元をゆるく締めるように捕らえて。
冷たい声が、機械のように淡々と尋ねてくる。
この人が、来世様……?
恐怖のあまり鈍くなった頭で、必死に考えた。
ここはL区の城の庭園。
普段は立ち入りが禁じられているけど、今日は年に一度の開放日のはずじゃ……。
「もう間もなくウチの主が帰ってくる。早くここから去れ」
「……、……」
なにか答えようとするのに。足を動かそうとするのに。
恐怖に当てられた体は言うことをきかない。
「おい」
今度は、さらに強く声がかかる。
そのときだった。