冷たい城の番人

鼓膜を大きく揺らすほどの鐘音に紛れて、その声は確かにわたしの耳に届いた。


切り裂くような鋭さを秘めた声に、体は呪いにかかったかのごとく動かなくなる。


一度、ゆっくりとまばたきをした。

──刹那、誰かに背後を取られた。



「その制服は南高か。どうしてここへ来た」


冷たい指が、わたしの首元をゆるく締めるように捕らえて。

冷たい声が、機械のように淡々と尋ねてくる。



この人が、来世様……?



恐怖のあまり鈍くなった頭で、必死に考えた。


ここはL区の城の庭園。

普段は立ち入りが禁じられているけど、今日は年に一度の開放日のはずじゃ……。



「もう間もなくウチの主が帰ってくる。早くここから去れ」

「……、……」


なにか答えようとするのに。足を動かそうとするのに。

恐怖に当てられた体は言うことをきかない。



「おい」


今度は、さらに強く声がかかる。

そのときだった。

< 13 / 14 >

この作品をシェア

pagetop