スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。
「まぁ、よく帰ってきたね。元気そうで良かったわ……中でお茶でも飲もう。お父さんも百々芭のこと待ってたんだから」
「そうなんだ、お父さんお休みなんだね」
「そうなのよ。今日来るって一ヶ月くらい前に電話で聞いて、有給取ってたわよ。話があるみたいで」
確かに、休みに帰るとは言ったがまさか休みまで取るとは思わなかった……しかも話って怖いんだけど。
私は居間に行くと、お父さんがお茶を飲みながら新聞を広げていた。
「ただいま、お父さん」
「お、おかえり。百々芭……よく帰ってきたな」
「うん。なかなか帰ってこれなくてごめんね」
私の実家は、都内からずっと離れた田舎町にある。お母さんは専業主婦でお父さんは地元の郵便局で働いている一般家庭だ。
田舎だからか、結婚したとかそういうのが敏感なのだ。田舎でしか住んだことない二人は、この田舎が全てで適齢期がきたら結婚するのが当たり前だからか帰るたびに結婚の話になる。
同級生の〇〇ちゃんが結婚した、とか△△ちゃんが子どもを産んだ、とか……