スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。




 それから私は部屋に入ると、前来た時……大学時代の時と変わらない掃除されている室内。きっとお母さんがしてくれていたんだと思う。
 でも、彼らにとって私は大学生の時から止まっているんじゃないかと思ったりする。純情で、夢とか将来のことまだ決めかねていたあの頃のまま。


「はぁ……疲れた」

 
 家に帰ってきて初めてスマホを取り出すとメッセージが来ていたことに今気づいた。トークページを開き、確認をすると菜摘からだった。


【お疲れ。実家、着いた頃かな?今、昨日の名刺の彼が来ててさ百々芭に会いに来たみたいなんだけど、いないって言ったら連絡先教えて欲しいって言ってるんだけど、どうする?】


 昨日のって、篠原さん?だよね……どうして連絡先を?
 というか、私に会いに来たってどういうこと?

 頭の中はハテナでいっぱいだったけど、なんの用事か分からないし菜摘も忙しいだろうから【いいよ】とだけ打って送信した。すると、菜摘から伝えたことを報告メッセージが来た。


【私の予想では、彼、百々芭が好きなんじゃないかなーって思う】


 そう、菜摘から来てつい一人でツッコんでしまった。メッセージでも否定したけれど、それを信じてもらえたかはわからないが……。
 だけど、何の用だろう?



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