スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。
え、後ろ?後ろってなんもないけど……どこに、と聞こうとすれば結構先に手を振っている高身長の方が見えた。あの距離で私のこと、わかったの!?凄すぎない??
彼は私がわかったことに気付いて、こちらに走ってくるのがわかった。
「お仕事、お疲れ様。坂本さん」
「は、はい。篠原さん、視力いいんですね……」
「そうですね。仕事柄、0.5以上ないと航海の海技士の免許が取れないんですよね。僕は1.5あります」
「かいぎし……?」
視力もすごいけど、『かいぎし』のワードが強すぎてそちらが気になってしまった……何も知らない奴って思われたかも。
「あぁ、『海』に『技術の技』に『武士の士』って書くんだけどね。大型船舶の船舶職員が有さねばならない国家資格のことだよ」
「へぇ、国家資格なんですね……難しそう」
「国家資格だし、難しいは難しいけど。それでも海が好きだからね。好きなら難しくてもできるじゃない?」
篠原さんは、パーキングエリアに行くまで話を振ってくれたり自分のことを話してくれたりして駐車場まであっという間に到着してしまった。
彼の運転ですぐ近くにあるショッピングモールへとやってきた。