スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。



 パーティーなのでいつもよりも華やかなメイクをしてもらい、彼に買ってもらったイヤリングを付けてフルコーディネートが完成した。

 お礼を言うと、スタイリストさんが呼んだのか篠原さんが入ってきた。


「……っ……」

「し、篠原さん? ……似合わなかったですか?」

「違うよ、可愛くて綺麗で言葉が出て来なかった」


 篠原さんは近づくと「本当に綺麗だよ、百々芭ちゃん」とまた言ってくれたけど、彼はもっとかっこいい。

 航海士さんの制服なのか紺色のジャケットに肩章があり金色の丸いマークと金筋が三本ありそれが袖口にもあった。


「ありがとうございます。篠原さんも素敵ですね」

「ありがとう。制服は普段着ないんだが、こういうパーティーでは着用が必須なんだ」

「そうなんですね。その肩章とかの線って何か意味があるんですか?」

「そうだね、俺は一等航海士だから三本。船長は四本、二等航海士は二本、三等航海士は一本」


 へぇ……なんだかすごいなぁ。別世界だ。
 だけど、今日だけだけどそんなすごい人の婚約者なんだと思ったら大役だから頑張らないと!と気が引き締まるのを感じた。

 その後、私たちはタクシーで港にある乗船口に向かった。


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