スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。
乗船の時間までは近くにある建物で過ごした私たちは、乗船の時間が来たので篠原さんに付いて乗船口にやってきていた。
「あの、篠原さん。私、これ頂いちゃっていいんですか?」
「もちろん。百々芭ちゃんのために買ったんだから……それに僕のことは咲翔って呼んでって言ったでしょ」
「あ、そうでした。咲翔さん。ありがとうございます」
私が言う“これ”とは、私の指についている婚約指輪のことだ。仮の婚約者とはいえ、公式のパーティーだからと婚約指輪を頂いた。いつサイズを測ったのかわからないが、突然出された時は驚いた。
ピンクゴールドで大きいダイヤモンドが一つあり、それを挟むように小さなダイヤモンドが二つ付いている。
「側にいてくれればいいから、気楽にしてほしい。料理も最高に美味いから」
「楽しみです」