スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。


  ***


「坂本さん、深蒸し煎茶ってこの茶缶でよかったですか?」

「うん、そう。ありがとう、助かる〜」


 あの日のことが気になってても次の日は当然のようにやってきて今日は仕事だ。
 現在は、開店して十二時を過ぎた頃。月末だから茶缶から茶葉が少なくなってきている。このお店では、五種類の茶葉を扱っているので五種類全部茶缶が決まっている。

 ほとんどが和紙缶で玉露が藍色の花唐草、深蒸し煎茶がピンク色の梅桜文、上煎茶はミントグリーンと白のギンガムチェックでピンクの薔薇が描かれているもの、煎茶は白地の猫柄、ほうじ茶はシックな木目調が落ち着いている樹脂製の茶筒。
 これが覚えるのが大変で、各店舗で違うらしく覚えるのが大変だ。


「いいえ、全然。今日、入ってきた玄米あられはステンレス製の深めのバッドでいいですか?」

「うん。昼からはそんなに出ないと思うし、今からは緑茶チーズケーキが出ると思うしそっちの準備をお願いできる? あと、ほうじ茶も」

「了解です。ほうじ茶はたっぷり補充しましたよ」



 今日、一緒のシフトは大学生で一度教えたらすぐに覚えてくれる優秀な子。なんでも先回りしてやってくれて本当に助かる。
 私よりも仕事できるんじゃないかな、って思ったりする。



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