スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。




「そういえば、今月のブレンド茶が人気ですよね。甘くて旨味があってすごくいいって評判で。あと緑茶のチーズケーキも人気ですし、この前、休憩中に食べたらすごく美味しかったです」

「チーズケーキ美味しいよね、来月は抹茶ティラミスだって聞いた?」

「え、そうなんですか? 楽しみです」


 もうすぐ、試食会があるって菜摘が言っていたし。私も楽しみだなぁ……


「オーダーです、チーズケーキと玉露のセットを二つお願いします。あと、坂本さんをって言っているんですけど……」

「え? 私?」

「はい。えっと、あの方です……」


 彼女は小声でそう言いながら目線をそちらに向ける。すると、そこには咲翔さんとこの前も会った……確か葉口さんがいた。
 どうして来たんだろう……あれから一週間は経っているのに連絡来なかったのに。

 まぁ、お客様としていらっしゃったのかもしれないし……今の私は店員だから仕事をしなくちゃ。


「お待たせいたしました! 緑茶チーズケーキと玉露セットになります」


 私はテーブルにトレーを乗せて立ち去ろうとしたけど「百々芭ちゃん」と名前を呼ばれた。



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