スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。
「――初めまして。私、百々芭さんとお付き合いをさせていただいている平坂咲翔と申します」
……ん?平坂?って!お付き合いって何!?
「家は、HIRASAKA海運という会社を経営しております。私自身は、海上勤務をしておりまして一等航海士として豪華客船で働いています。私は、百々芭さんを愛しております……真剣に交際をしていまして」
情報量が多いんですけど……お付き合いってわからないし、真剣にって何??それに、咲翔さんは篠原じゃなかったの!?
ひとり戸惑って固まっている間にもう、電話は終わっていた。
「……あのまずは、いろいろ話をしませんか? 情報量が多くて整理できません」
「確かにそうですね、そうしましょう」
そう言うと、咲翔さんは電話口で言っていた話を私にし始めた。自分は海運業界では大企業の会社の御曹司で篠原は母の旧姓だということを分かりやすく教えてくださった。