スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。



 咲翔さんは、自身の航海士の仕事内容を前よりも少しだけ詳しく話してシフトを教えてくれた。
 海運会社の海上勤務なので九ヶ月は海の上で、残りの三ヶ月は休暇といった普通とは違うしきっと気楽だよと笑って言った。


「そうなんですね……なんだか想像できないです」

「まぁ、特殊だからね。だけど、百々芭ちゃんもシフト制だし不定期でしょ? バラバラにあるか、固まってあるかの違いだよ。でも、強制はしないよ」


 私にしたら、とても魅力しかない契約だし咲翔さんと暮らしてもきっと大丈夫。それに、九ヶ月もいないなら『孫はまだか』攻撃を受けなくて済むんだと思ったらデメリットなんて見つからない。


「……あの、咲翔さん。咲翔さんのご両親は反対されませんか?」

「それは大丈夫。両親も恋愛結婚だし、母は事務をしていた一般人だよ。だから、今は結婚することが大事なんだ」

「そうなんですね、では、私はこの契約結婚をお受けします」


 こうして私は、咲翔さんと結婚をすることになった……一年という条件付きの、契約結婚を。













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