スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。



「Excuse me, are you open now?」


 私のもっとも苦手な外国のお客様が来店した。
 もう、英語対応のスタッフは帰っている。私しかいないので急いでスマホを取り出してもう一度言ってもらおうと尋ねたが伝わらない。


「……Do you need any help?」


 颯爽と現れたのは、いかにも制服!という感じの服を着ていてパイロットかそれとも船の運転手さんかという雰囲気の人だった。
 代わりに聞いてくださって、なんとか席に案内をする。そして、その方は最後まで翻訳をしてくださった。

 無事、お客さまはお茶を楽しみ帰って行かれたけれど……きてくださったお客様に翻訳させてしまったことに気づく。


「ありがとうございました! とても助かりました……本当に」

「いいえ。お役に立てて良かったです。もう閉店時間のようですし、また来ます」


 その人は何も言わずにすぐ出ていってしまって私はなんのお礼も出来なかったことがとても残念な気持ちを抱えながら私は閉店後の掃除をした。

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