スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。
8.契約結婚の終わり
月日は流れて結婚してもうすぐ九ヶ月が経とうとしている。
「百々芭ちゃん、素敵なお店に連れてきてくれてありがとう」
「いえ、お義母さま。喜んでもらえて良かったです」
お義母様とは、咲翔さんが旅立ってから寂しいだろうからと一週間に一度は会っている。
そのおかげで私は、寂しくはなかったし楽しく九ヶ月を過ごせた。
「本当に百々芭ちゃんはいい子で良かったわ。ずっと独り占めしちゃったけどようやく咲翔が帰って来るわね」
「そうですね」
「連絡は少しは取ってるの?」
「はい。必ず毎日一回は連絡くれてます。だからとても楽しみで」
普通の夫婦みたいに好きあってないから友人のような感じだけど、電話したりしていて大変なのに気遣ってくれて優しくしてくれた。そんな日々が楽しくて好意は持っている自覚がある。
「そうなのね。私たちにはくれたことないのに、百々芭ちゃんには連絡するのね。なかよくしてるみたいで安心だわ」
仲は良いと思うけど、これは契約結婚なのに罪悪感でいっぱいだった。