スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。
2.制服のひと
「……え、そんなことがあったの?」
「うん。そうなの、本当に助かっちゃった」
翌朝、出勤すると開店作業を店長で同期の菜摘に話をする。
「へぇ、まぁ良かったね。でも、制服ってことはこの辺なら豪華客船の船員さんじゃないかな? 昨日から泊まってるって言ってたよ」
「船の運転手さんってこと?」
「うーん……よく知らないけど、かもしれないかなって。それに、この辺パイロットとかも住んでるけど制服では通勤しないと思うし」
船の運転手さんかぁ、確かに今、船が停泊しているしそれが一番確率高そう。それに昼くらいからお客さんも増えてるし、それでなのかも……
「まぁ、また来るって言ってたんなら来るんじゃない? どういう人? イケメン?」
「夜だったし、英語はペラペラだったからかかっこよかったよ。顔はイケメンの部類に入るんじゃないかな?」
「えー! そうなんだ。来るの楽しみだね」
「まぁ、そうだね……じゃあ、開店させますか」
そう言うと、私は店の鍵を開けて【Open】の札と今日のオススメなどを書いたブラックボードをお店の外に置いて開店させた。