ブラッドレッドの繋がり
追い付いたあの人の後ろをついていく。彼は胸ポケットからさっき吸っていたタバコを取り出して、少し焦ったように
「あ、やっべ!ジッポ落とした。」
「何それ?」
「ん~ライターみたいなもん。」
「………これ?」
ポケットからさっき拾った重みのあるシルバーを見せると
「おぉ!どこにあった?サンキューな。ちょっとビビった~。」
と、渡したジッポに手慣れた様子でカチャッと音をたてて直ぐに火をつけ、安堵のため息なのかタバコの煙をやけに長く吐いていた。
「……臭いなぁ。」
「毛の生えていないお子ちゃまは煙の匂いなんてまだ早いからな。」
「何の毛ですか。」
あの人の後ろを歩いていた筈が、いつのまにか肩を並べながら歩いている。
暗くても見えるニヤニヤと表情の音が聞こえてきそうなくらい悪い顔で私を見つめ、
急に顔を近づけて私の耳元で囁いた。
「お前のア ソ コ。」
歩く足が止まってドキン!!と、大きな心拍音が鳴ったと同時に私の胸から全体にかけて電流が走ってしまった。
「……セクハラじゃん。」
こんな言葉を言い返すのが精一杯。暗くて良かった。
顔も胸も赤く、熱くなったから。