ブラッドレッドの繋がり
「お婆ちゃんが亡くなったよ」
「えっ? え、え? 本当に?」
バイトが終わり、学校の制服から部屋着に着替えて少し遅めの晩御飯を食べようとした時だった。
「峠は越えたと思ったんだけどまぁ95歳だしねぇ」
お母さんが豆腐とワカメのお味噌汁を温めながら話したあと、ソファーでテレビを観ていたお父さんも続けてこちらに視線を向けて話をする。
「越えたと思ったらまた峠で、また越えてまた峠で、三度目の正直だったな。お父さん流石に三回目ともなると、もういいだろ婆さんって突っ込んじゃったよ」
確かにお婆ちゃんが入院している病院から連絡が来て、お父さんが何度も慌てて家から出ていった事があったような。
「まぁ、頑張ったしな。婆さん」
自分の母親が亡くなったお父さんが数秒しんみりしたかと思ったが、テレビのお笑い芸人の内容にひゃっひゃっと父の独特な笑い声がリビング中に響き渡る。