名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「どこで祐飛と知り合ったのかな?結婚するまで祐飛から君の話を一度も聞いたことがない」
「私と祐飛さんの馴れ初めを純華さんから聞きませんでした?」
「聞いたよ。でもやはり納得できない。祐飛が旅先でナンパをするとは思えないんだよ。祐飛は真面目で身持ちが固い」
聖の顔から瞬時に笑みが消えていく。
「……君は何者だ?どこから来た?何が目的で祐飛に近づいた?」
先ほどとは打って変わり、冷え冷えとした目つきで見下される。
返答次第ではどんな手段を使ってでも雛未を排除する構えだ。
聖は雛未達の結婚に何かしらの思惑があると思っている。
――正解だ。
しかし、この場で『はいそうです』と誰が言えるものか。
「私と祐飛さんの結婚は、そんなにおかしいことですか?誰だって、いつ、どこで、どんな人と恋に落ちるかわからないものでしょう?」
雛未はあくまでも恋愛結婚だと主張した。
腹の探り合いとなると、日頃から海千山千の政治家達を相手にしている聖が圧倒的有利だが、今回は先に矛を収めてくれた。
「……まあ、いいよ。この話はまた別の機会にしよう」
聖はそう言うと、ジャケットの胸ポケットから箔押しの封筒を取り出し、カウンターに置いた。