名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
『衆議院の本会議中に意識不明になり、ベリが丘病院に搬送された若狭國治副総理ですが、現在も意識不明の状態が続いてます』
ひと呼吸置いて、画面が国会議事堂の様子に切り替わる。アナウンスと一緒に、若狭議員と思しき人物が椅子から転げ落ちる様子がまざまざと映し出され、雛未はテレビににじり寄った。
時事ニュースが終わり、明日の天気予報コーナーに画面が切り替わっても、雛未はまだテレビに張りついたままだった。
自分が見たものが信じられなかった。
確かに、現職の副総理なら政治に疎い雛未でも名前くらいは聞いたことがあるはずだ。
でも、まさか正体不明だった父親の消息がこんな形でわかるなんて!
「ベリが丘病院……」
『ベリが丘』は雛未の暮らしているこの田舎から飛行機で二時間ほどの距離にある都会にある。
日本きっての高級住宅街として広く知られている。
テレビや雑誌でも頻繁に特集が組まれ、ベリが丘に住む人々は日本中から羨望を集めている。
(これは偶然?それとも必然なの?)
まるで、父親に会いにいけという神からの啓示のようだった。