名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】

 ◇

「購入リストの回収に行ってきまーす」
「はーい」

 雛未は茉莉にそう声をかけると、カウンターから出て、一号室から順に病室をまわっていった。
 購入リストとは、その名の通り入院生活で必要な消耗品を買うためのリストである。
 リストは週に一度アテンドが回収し、翌週になると希望された物品を各病室に届けてまわる。
 代金は退院時、または月に一度精算される仕組みだ。

 雛未は一号室、二号室と、順調にリストを回収していった。
 四号室は現在空きになっているので、三号室が最後だ。
 雛未は三号室の扉をノックした。
 他の病室と違い、若狭議員の病室だけは返事がない。
 ……当然だ。
 
「失礼します」

 雛未は返事を待たずに入室した。
 購入リストを挟んだバインダーは分かりやすくチェストの上に置かれていた。
 一番上の紙だけをバインダーから取り外していく。
 若狭議員本人は購入リストを記入することが出来ないので、いつも純華が代わりにチェックをいれておいてくれている。

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