名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
雛未からのナースコースを受け、担当の看護師は急いで祐飛を特別室に呼んだ。
診察が終わるまでの間、雛未は病室の外で待機していた。
(神様……!)
雛未は思わず神に祈った。生きた心地がしなかった。
祐飛が病室から出てきたのは、診察が開始されてから十分後のことだった。
「あの……!どうでした!?」
「腕が動いたのは偶然だ」
祐飛から自分が見たものを否定され、雛未は愕然とした。
「でも!確かに見たんです……!指がこうやって動いて……」
雛未は必死で食い下がった。痩せ細った右手が誰かを求めるように、何度も動いたのだ。
偶然の二文字で済まされてたまるものか。
「雛未」
祐飛は雛未の話を途中で遮り、こう言った。
「家に帰ったら話がある」