名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
「私にそこまで話していいんですか?」
「聖には今日、雛未の事情を話してきた。容体を話す許可はもらってある」
雛未の正体を知った聖はさぞや驚いたことだろう。
もし雛未が若狭議員の隠し子だったのなら、大問題だ。
娘婿の聖は、若狭議員とは一蓮托生。誰かにこのことを漏らせば、自分の立場まで危うくなる。
だからこそ、信頼できる。
「若狭家は延命治療を望んでいる。長期療養型のリハビリ病院への転院の話が既に進められている。うちの病院ではこれ以上の治療は望めないからな」
「そんな……」
若狭議員が転院したら、雛未はどうしたらいいのだろう。
真実を解き明かすこともできず、ベリが丘にいる意義を失ってしまう。
「雛未はどうしたい?」
「どうするって……?」
「目覚めるかどうか分からないあの人を、これからも見守り続けるか……ベリが丘を去るか……」
「ベリが丘を去るって……?」
「雛未が望むなら、離婚してもいい」
雛未は『離婚』の二文字に、かつてない衝撃を受けた。